腎臓について知っておいて欲しいこと 〜腎臓のお仕事編〜
私一応腎臓内科医です。
普段、患者さんと接していて「これはみなさん知っておいていただけると話がラクなんだけどなぁ」と思っていることを少しずつ書き残していこうと思います。
基本的にはここにわかりやすくて書いてあるのですが、自分の言葉で記すとこんな感じです。
腎臓の働き
・腎臓は尿を作っています
・腎臓はホルモンを作っています
医者としては「腎臓には大きく4つの仕事がある」と習いますが、もっとわかりやすくざっくり分けると2つの仕事に分かれます。
「尿を作ること」「ホルモンを作ること」です。
尿を作る
尿には体にとって不要なもの、余っているものなどが捨てられています。過剰な塩分、過剰な水分など肉や魚などのタンパク質から出た不要な窒素(アンモニアや尿素)などが捨てられます。また、日々行われる代謝の結果生じた老廃物、毒素によって体の中は酸性になりやすいのですが、これを中和して酸性にならないようにしているのも尿を作る過程で行われています。
普段意識することはないと思いますが、薬や毒素の多くも腎臓から排出されます。薬の影響で腎臓が悪くなったり、腎臓が悪くなると薬の作用が強くなりすぎたりします。
ホルモンを作る
エリスロポイエチンという赤血球を作るのを助けるホルモンを作っています。腎臓が悪くなると、このホルモンが減ってしまい貧血になりやすくなります。
血圧を調節するレニンというホルモンも作っており、腎臓の働きが悪くなると血圧が高くなりやすいです。
尿の作られ方
・尿は血液を材料に作られています
・沢山の血液を材料にわずかな尿が作られています
血液から尿を作っている
腎臓は血液をろ過して尿を作っています。脱水で血液の量が減ったり、動脈硬化などで血管が狭くなって腎臓への 血の巡りが悪くなると、腎臓は正常に働くことができなくなります。
糸球体と呼ばれる組織で血液がろ過されて、尿の元ができます。そこから必要なものは再び体内に取り込まれて、最終的に尿として排出されます。
沢山の血液をろ過してわずかな尿を作っている
腎臓がろ過する血液の量は1日約180Lと言われ、一方で1日の尿の量は一般的に1.5〜2.0Lです。実際に排出される尿はろ過した血液の100分の1くらいです。言い換えれば、腎臓は血液を材料に100倍ぐらいに濃縮して尿を作っています。
人間の血液の量は、体格にもよりますが、だいたい4L〜5Lです。腎臓では1日に全血液を30〜40回ほどろ過している計算になります。
この作業を腎臓は24時間365日休まずに行なっています。
腎臓は働きものの臓器ですね。