できる事をやるしかない

アラフォー妻子持ち医師のなんとなく思っている事

健康についてはもっと本人の責任が重視されるべき

正月気分も抜けて病院の仕事も通常運転になってきました。

外来診療をしていると年末年始に不摂生したんだろうな、と思わせる患者さんが多くやってきます。運動不足で体重が増えた人、食べすぎて血糖値やコレステロール値が悪くなった人は本当に沢山いますが、年に一度の正月くらいは普段の食事制限を忘れて食事を楽しみたいという気持ちもわからなくはありません。まぁ、生きる死ぬの騒ぎになるようなことでも取り返しのつかないことでもありませんので、あまり厳しく注意はしていません。

 

ですが度を越して、元々心臓が悪いのに塩分を取りすぎて心不全になって救急車で運ばれる人、普段透析を受けていて水分量を制限されているのに、飲みすぎて苦しくなって搬送される人などは、流石に同情の余地がありません。

 

明らかに本人が気をつけるべきことを怠って、病状が悪化した時でも病院へいけば普段と変わらず診察を受けられます。医者から説教されたり嫌味を言われる事はあるでしょうが、必要な診察、治療は受けられます。

 

 

私は、今の医療制度って不公平だな、と感じています。
保険料は一定の割合で支払うのに、病院に頻繁にかかる人もいれば、ほとんどかからない人もいます。自分は医療の恩恵を受けていないのにお金だけは払っている方は不公平だと感じるのではないでしょうか。

 

病気や怪我は万が一、予期せずしてかかるものですから、今自分が幸運にも病院にかからずに済んでいるだけだ。いずれ自分だって保険料を払っている恩恵を受ける日が来るのだから、今、病気や怪我で辛い思いをしながら病院にかかっている人たちに思いやりの気持ちはないのか、狭量なやつだと思われる方もいるでしょう。それは全くの正論だと思います。ですが、今のままでは健康を損ないますよ、と事前に告げられていて、それでも自分を顧みず、案の定病気になった方に対してはどうお感じになるでしょうか?

 

 

今のままでは健康を損ないますよ、という状況のは高血圧、血糖値が高い、コレステロールが高い、太っている、喫煙している、で生活習慣病の患者さんか喫煙者と言っていいと思います。

職場や自治体の健診を受ける、自分で血圧・体重を測ることでこれらに該当するかどうかはすぐにわかります。

それをしない、もしくは注意を受けていても今は問題ないだろうと判断して治療していないのであれば、それはいつか病気になるかもしれないことをほったらかしにしているに他なりません。

 

健診を定期的に受けて、健診で異常が見つかったら病院にかかる、病院で治療が必要だと言われたら治療を受ける、最低限これだけはしないと自分の健康に対する責任を果たせていないと思うのです。

 

健診を受ける、治療を受ける、いくら健康に気をつけても病気になる事はありますし怪我をする事もあります。それは仕方のない事です。できることをした上でも患うのが病気であり怪我なのだと思います。それは本人の力ではどうにもできない不幸な出来事として、保険制度のもとで治療を受けるべきだと思います。ですが、そういった努力はせずに、自分の健康管理を怠って健康を害した場合も同じように保険制度のもとで治療を受けられるのは、健康に配慮している真面目な人たちに失礼じゃないかなと思うのです。

 

単に無関心で健康を害したわけではなく、仕事や家庭の事情で分かっていても治療に時間を割くことができないのだという方もいます。どこまでがやむなき事情なのかを判断するのは難しいですが、健康を害しても、自分の体を犠牲にしても優先すべき事ってなんなのでしょうか?それほど多くあるとは思えません。思いやりに欠けると言われるかも知れませんが、もし、よく考えた上で、自分の健康よりも他のことを優先したのであれば、病気になる事も潔く受け入れ、健康に配慮しなかったなりの処遇を受けるべきだと思うのです。健康を損なうという報いは受けているのですが、それを医療費の面で誰かの世話になるというのは、真面目に健康と向き合った人からすれば不公平にならないでしょうか。

 

日本の医療制度は多くの人が安心して生活できる重要な制度だと思います。ですがそれに甘えて健康管理がいい加減になっている人もいるような気がしてならないのです。収入は増えない、税金は高いという苦言はよく耳にします。税金が高い理由の一つは間違いなく医療費が高いことが関わっています。みんなが健康に気をつけて病気が減れば医療費負担も減り、ひいては税金の負担も減るかもしれません。

 

自分の体のこと、経済的な負担のことを考えてももっと健康に関心と責任を持って欲しいと思うのです。